かのコレ

キャスト発表されたときだけ元気になる茶の間

あなたも知らない舞台裏みてきたよ

さー今年もこの季節がやってきました!

りさ子のガチ恋俳優沼の松澤くれはさんの舞台「あなたも知らない舞台裏」を見てきました

くれはさんすごいな、まーたなんかやばいの作ってきたぞ\(^o^)/

 

公演も終わったことですし、ネタバレ含みつつ感想など(長い)

とても言葉にするのが難しい作品でした。

 

↓あらすじはこちら(公式サイトから転載させていただきました)


売れない若手演出家・呉原(くれはら)くんに転機がおとずれる。
2.5次元舞台『けまりストライカーズ!』のプロデューサーに大抜擢!

しかし彼を待っていたのは「演劇界の闇」だった……。
虚言!妄言!騙し合い! 枕営業に資金の横領!
上司の悪徳プロデューサーに振り回されてトラブルばかり。
やがて彼は自分が利用されるだけの駒だと気づいてしまう。

「この世は腐ったモン勝ちだ。キレイな奴から捨てられる」
蔓延る芸能ゴロたちがささやく。悪に染まれと誘惑する。
いくらでも代わりのきくこの業界で、彼は自分の価値に思い悩む。

裏切られても、人を信じることで道は開けるか?
演劇は夢いっぱいのエンターテイメント。その舞台裏だけを、あなたに。

 

待って待っていろいろつっこみたいけどその前に

出ー!!けまりストライカーズ!!!!!

小説版りさ子のガチ恋俳優沼の終盤にチラッと出てきて「け……まり????www」ってブフォッなったあのけまりストライカーズ!!

現代のサッカー選手が平安にタイムスリップしてしまい、平安が誇る蹴鞠ファンタジスタたちと絆を深め死闘を繰り広げるとかいうザ☆スペゼロ埋まらなそうな2.5

りさ子の時の政権☆伝説もそうだったけど、この劇中劇のリアルさほんとにすごいwww

.5界隈あるあるのしょぼいセットと謎の決め台詞とよくわからん設定のトンチキ舞台。終演後にお見送りハイタッチあるやつー!

あ~こういうの見たことある~!

りさ子も見にきてたんかなー!最前とれてたかなー!

 

主人公は脚本演出家の呉原くん。

小劇場の小さな舞台で脚本演出を手掛けていた彼が、突然けまりストライカーズ(通称まりステw)のプロデューサーに半ば強制的に抜擢されるところから始まります。

 

2.5というジャンルが確立して一時代を築いてから久しく、(特に.5舞台でない)舞台も見に行けば何かしら2.5舞台のフライヤーが挟まっており、ゴリゴリの衣装とカラコンでキメ顔のレタッチしすぎた若俳の顔がいくつも並ぶ。

また.5やるのwwwまた.5やるのwww

誰の台詞だったか忘れたけど(平井さんかな?)「.5なんて鬘かぶらしてコスプレさせて、やーっ!とか戦わしときゃいいんだよ」みたいなのがあったけどこれ.5をdisってるっていうか.5に群がる客をdisってるわけですが

それいつもおたくも言ってるやつじゃん

「.5なんて鬘かぶらしてコスプレさせて、やーっ!とか戦わしときゃいいんだよって絶対思われてるよねwww」

いわゆる.5神話ってまだ存在してるのかな?

誰々くんが出てるから絶対チケ取れないやつぅ(自分は行きもしない)とかチケ取れなかったマジ激戦つらい(/ω・\)チラッチラッ(千秋楽しか申し込んでない)とか言ってるよくあるおたくの18番チケ取れないパフォーマンスだよね???(チケめちゃめちゃ余ってる)

原作が人気だからって舞台が埋まるとも限らないし

.5界隈で人気の俳優キャスティングしたところで埋まるとも限らないし

人気の.5作品に出たからといってその俳優が売れるようになるかといえばそうでもないし

かつて人気を博した作品でもコンスタントに埋まってるとも限らないし

数打てば、地方打てば埋まるとも限らないし

むしろ推しが.5に出ますってなると「.5かよ」ってなるおたく多いし

俳優もおたくも消耗品で消費サイクルはとんでもなく早く、供給が多すぎて当のおたく本人すら疲弊しきってる現実。

売れてる作品なんてほんの一握り。

そこが.5の難しいところでもあると思うんだけど

そもそも原作があるのにつまらないってどういう(^ω^)

ほんとに博打ジャンルだなあと思ってる

(だから物販が大事なわけですね)

 

 

そんなまりステの現場はというと、やる気のないキャスト、本番直前なのにメインの役どころの俳優が決まってない、出来上がってない脚本、無能な製作、曖昧な演出家、進まない稽古、悪どい上司達に逆らえずうまくやりこめられ、初めての.5の現場に戸惑いを隠せない呉原くん。

 

そして売れない女優栗原さん。
バイトで食いつないで、なかなかお仕事をもらえず、自分で役者という道を選んだのに卑屈になりモヤモヤした毎日を生きている。やめたいのにやめられない。
そんな彼女がやっと舞台のオファーを受け、嬉々としてまりステの現場に来たところ自分がやるはずだった役は他の女優に取られていて、上も掛け合ってくれない。どうしても仕事が欲しい彼女はついに…

 
ちなみに、この栗原さんの前日譚を集英社のサイトで松澤くれはさんが書き下ろしています。
こちらから読めます→web 集英社文庫 
(これ、リアルな話、女優さんってほんと厳しいと思うんだよ。ある程度選択肢のあるそれこそ.5とかね男性俳優に比べて女性ってほんともうホリでピーターパンやるか東宝シンデレラになるか四季か宝塚入るかしかなくないです??ほんとに厳しい世界だと思う)
 
この、呉原さんと栗原さんの2人を中心に物語は進みます。

 
個人的に思い出したのが「耳をすませば」の雫。
自分の将来に悩んで葛藤しながらカントリーロードするあの青春映画です(雑)
人生にはいくつも分岐点があってそのたびに誰もが決断をしていくわけで、せやなあ雫!!カントリーロードしたいやんな!!!!わかる!!って昔は思ってたけど大人になってからこの映画見たら

「は?????雫勉強しろよクソが」

としか思えなくて終始雫にイライラしたって友達に言ったら「もう大人になると雫のお姉ちゃん目線になってしまうよね」って話をしたのを思い出したよ。
そうなんだよね、ある程度年齢と経験を重ねると身の程を知って現実を見て落ち着いてしまう。夢がないわけじゃない、やりたいことがないわけじゃない。けど高望みはしないし、今の生活には変えられないし、堅実に生きたい。

 
呉原くんも栗原さんも、雫のまま大人になってしまった人たち。
だから見てるとイライラする。
結局どうしたいの?何したいの?
人は責任転嫁するときにすぐ子供返りする。「知らなかった」「汚い大人たちに騙された」「大人は自分を認めてくれない」いやいや、あなたも大人だよ。

ヴァルトシュテッテン男爵夫人も言ってたじゃん???「もう大人なんだから」って(突然のM!)

何も持たずに何をしようというの。
やりたいやりたいって自分の欲望を主張するばっか。

悪徳プロデューサーや役者の夢をあきらめて社畜やってる呉原くんの同期の杉本さんの台詞の方がよっぽど説得力がある。

代わりはいくらでもいるし、頑張っても叶わないことや不条理はたくさんある。

自分には演劇しかない、ただ舞台やりたいだけなのにどうしてこうなるのかと過酷な運命を嘆く2人。何者にもなれない人が何かでいられる居場所、それが2人にとっては舞台だったんだね。そうねえ、つらいねえ。

 

セクハラ、パワハラ、横領、不払、責任の所在…演劇界だけじゃないし企業も部活も政治もいろんな団体でそういうのあるのでそのへんはまあ「そうだよねぇ」ってかんじで。

最近公演中止のお知らせ立て続けに見かけたし今日また作品のクレジット問題で世間が騒いでいたね。日常茶飯事なんだろう。

※「㈱がついてないからこれはうちの会社じゃないよーん!うちに責任ないよーん!」みたいなのってほんとにあるのかな

 

ちなみに、前作りさ子に登場したあっきーこと秋山くんも今回の作品に登場しております。(そーだよね!まりステ出るもんね!※小説版参照)

くまちゃんの稽古着まじ若俳www登場シーンは昭和の文豪みたいな若俳眼鏡にスタバ持っててほしかった(^ω^)

小説や前作の彼の振る舞いを知ってるお客さんは、いやいやあっきー何言っちゃってんのwwwってなったでしょうねえ(^ω^)

 

せまる初日、売れないチケット。このままではいかんと一念発起した呉原くんはカンパニーを必死に鼓舞し、彼の切なる叫びを聞いたみんなはやる気を出して徐々に団結していきます。

このシーンわたしはものすごくゾッとしてしまった。ちょっとこわい。部活とかブラック企業の宗教じみた集団心理に通ずるものがあるよ。

そしてこの茶番見ながらイライラしてたのはみーんな自分のことばっかり。役やりたい、とにかくチケ捌きたい、いい舞台やりたい、少しでも赤字減らしたい…

お金を払って来てくれるであろうお客さんのことはみーんな無視かーーい(^ω^)

序盤の誰かの台詞「チケット?ファンが買ってくれるでしょ知らんがな」みたいな台詞も心底イラッ(^ω^)

ほらー!!おたくのみんなそういうふうに思われてるよーーー???

埋まらないのはお客さんじゃなくてキャストと製作のせいでーーーす!!!!!!!

 

幕は上がり、やりきった俳優たち、拍手に溢れ充実感いっぱいのカーテンコール。

「あれ?うちら何見に来たんだ?まりステかな(^ω^)??」って思わず錯覚する。

ぜんぜん意味わからん設定や台詞に心の中でつっこみを入れながら思わず手に汗握って見入っちゃう、応援しちゃう。よかったねぇ、よかったねぇってなっちゃうカテコ。せやねんこれが2.5の固有パッシブ「みんな親目線」である。

鞠役の方がキレッキレでとてもよかったですよ!!!あの人何者なんだろうね(^ω^)(^ω^)

 

 

そんな「売れない女優栗原さん」の悲惨な体験を顔のない人々が嘲り、笑う。

ああ、これ、うちらの姿だ。あそこに座ってるの、うちらだ。

これ、トゥルーマンショーだったんだ。

もしかしたら今までの出来事、脚色されたものだったのかも。ほんとはあんなふうじゃなかったのかも。虚言とか妄想だったんじゃ?そんなことまで思ってしまう。

トゥルーマン・ショー(通常版) [DVD]

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大学のメディア論か何かの教授がめっちゃトゥルーマンショー推しだった(どうでもいい)

 

本当にうちら何見に来た観客なんだろう。

 

ただひとつ真実だよって思うのは呉原くんの「お客さんはバカじゃない」って台詞。

見てくれてる人はちゃんと見ていると思うよ。

 

くれはさんの作品は、扱う題材があれだったりするけど(笑)根底にあるのは人を人たらしめるものだったり、人との関わり方だったり、誰もが持っている人間の本質的な部分だと思うんですよね。今回も見に来れてよかったです。

わたしのつたない文章だとうまく言い表せないので申し訳ないんですけど。

 

 

 

 

「舞台と客席は共犯関係」

演劇に何らかの形で触れていれば一度は聞く言葉だ。

昔は、よく意味がわらなかった。

共犯ってどういうことだろう?って。

 

今ならわかる。

自分ではない何者かの役を演じること、ただの素舞台が異世界になること、その世界観を作り手も観客も壊してはいけないこと。

舞台という非日常空間で、俳優と観客、虚構の愛を、夢をやりとりすること。

劇場に足を運び、さしておもしろくもないよくわからん作品に拍手を送る。

彼らがそれを望むから。

舞台に立ち、さして思い入れもないような役を演じる。

観客がそれを望むから。

こっちは俳優に媚びる。むこうは観客に媚びる。

関係者席で、おおよそ演劇なんて興味なさそうな招待客が思いっきり寝ている。

チラチラ時計やスマホを確認している。

そうだよね、つまらないもんね。正直だな。マナー悪いな。誰の身内かな。あとで誰々が出てる○○見てきた😉最高の仲間~っ!て寒い写真上がるだろうな。

本当に芝居がやりたくて、作りたくて、やってる人ってどれくらいいるのかな。

本当に演劇が好きで、楽しいと思って、心から拍手してる人ってどれくらいいるのかな。

役者は役を演じる。観客は良い観客を演じる。

そうやって共犯関係は今日も成り立っている。

この身内感。

 

2時間も3時間も座席に固定され、お金を出して夢の時間を買う。

観客が舞台や俳優に夢を見るように、製作や俳優も観客に夢を見ている。

クリーンで純粋なイメージがあるのかな?

観客は喜んでると、楽しんでると思われてるんだろうなあ。浅はかでバカでちょろいと思われてるだろうなあ。まあ、実際そうなんだけど(^ω^)

 

俳優の、そして製作の仕事は舞台を作ること

違うよ、これは客商売だよ。

 

「嫌ならやめればいい」

どっちもね。舞台上と、客席の、悲しき喜劇。滑稽だなと思う。

これもそうかもね、あなた「も」知らない舞台裏。